more or less の意味は?
実会話76本では0回だった
more or less は参考書にも辞書にも載っている表現です。では会話でどれくらい出てくるのか。日常会話が多い7ジャンルの動画76本から、「だいたい・ほとんど」とぼかす表現をまとめて数えました。結果、more or less だけが1回も出てきませんでした。
まず more or less の意味
共通しているのは「完全にそうとは言い切らない」という働きです。使い方は3つに分かれます。
| 意味 | 例 |
|---|---|
| ①多かれ少なかれ 程度の差はあれ | We were all more or less surprised by the news. その知らせには全員が多かれ少なかれ驚いた |
| ②だいたい・おおよそ | The report is more or less finished. レポートはだいたい終わっている |
| ③約〜 数量のあとに置く | It took an hour, more or less. 1時間くらいかかった |
①と②は動詞や形容詞の前、③は数量のうしろに置きます。位置で意味が変わるのがこの表現の特徴です。
ところが76本で0回だった
ここからが本題です。動画76本・7ジャンルを全文検索したところ、more or less の出現は0回。念のため more or という並びだけでも探しましたが、こちらも0件でした。
誤解のないように書いておくと、これは「間違い」でも「使われない表現」でもありません。辞書に載っている正式な表現で、書き言葉やフォーマルな場面では普通に使われます。今回わかったのは、日常会話が多いこの7ジャンルでは選ばれていなかった、ということです。
実際に使われていた「だいたい」
では、同じことを言いたいときに何が使われていたのか。ぼかしの表現をまとめて数えると、差が極端でした。
| 表現 | 回数 | 出現した動画 | ジャンル |
|---|---|---|---|
| kind of | 373回 | 56本 | 7 |
| basically | 48回 | 23本 | 7 |
| almost | 47回 | 26本 | 7 |
| sort of | 22回 | 12本 | 4 |
| pretty much | 14回 | 11本 | 4 |
| mostly | 13回 | 10本 | 4 |
| more or less | 0回 | 0本 | 0 |
※ kind of と sort of は「種類」の意味(what kind of ~ など)でも使われます。直前の語(what・that・a など)を手がかりに機械で仕分けたうえで、抽出した20件を目視で確認して分けました。「種類」の kind が91件、sort が38件あり、それらは上の数字に含めていません。
圧倒的に多いのは kind of
373回・76本中56本。7ジャンルすべてに出てきました。2位の basically(48回)の約8倍で、ぼかし表現はほぼこれ1語でまかなわれている状態です。
置く位置は自由度が高く、形容詞の前・動詞の前・文の途中のどこにでも入ります。
| It was kind of cold in there. | そこ、ちょっと寒かった(形容詞の前) |
| I kind of forgot to bring it. | 持ってくるの、なんか忘れてた(動詞の前) |
| It's kind of like a smaller version of that. | あれの小さい版みたいな感じ(kind of like の形) |
※ 会話では kinda と綴られることもありますが、今回の書き起こしはすべて kind of の形で記録されているため、縮約形の割合は今回のデータからは分かりません。
sort of は「種類」のほうが多かった
kind of と並べて教えられることの多い sort of ですが、実データでは様子が違いました。全60件のうち、「種類」の意味が38件、ぼかしが22件。ぼかしより「種類」で使われるほうが多い語でした。
| What sort of music do you listen to? | どんな種類の音楽を聴くんですか(種類・38件) |
| I was sort of hoping you'd say that. | そう言ってくれたらな、と少し思ってた(ぼかし・22件) |
ぼかしとして使うなら kind of が373回に対し sort of は22回で、約17倍の差。同じ意味だと習いますが、使われる量はまったく違います。
残りの4語の使い分け
- basically(48回)← 「要するに・基本的には」。話をまとめ直すときに前に置く
- almost(47回)← 「もう少しで」。あと一歩で届くニュアンス。ぼかしというより距離の話
- pretty much(14回)← 「ほぼ」。almost より到達している側に寄る
- mostly(13回)← 「大部分は」。全体のうちの割合を言う
kind of・basically・almost の3語が7ジャンルすべてに出ているのに対し、sort of・pretty much・mostly は4ジャンルにとどまりました。後者は使う場面が限られる語ということです。
では more or less はいつ使うのか
覚えておく価値は十分あります。読む・聞くときに意味が分かる必要があるのと、書き言葉では自然に使えるからです。
- 使いどころ:レポート・メール・プレゼンなど、やや改まった文章
- 会話で「だいたい」と言いたいとき:kind of を選べばまず外さない
- 数量のうしろの「約〜」:この用法は会話でも使える。ただし about のほうが一般的
数量をぼかす表現は、much や many の使い分けとも地続きです。あわせて much と many の違い もどうぞ。