英語の接続詞は文頭に置ける?
19語の文頭率を実会話で数えた
「接続詞を文頭に置いてもいいのか」は、たいてい「and / but は避けるべき」「since なら文頭が一般的」といった規範の話で説明されます。では実際の会話ではどうなのか。日常会話が多い7ジャンルの動画76本から、接続詞19語について、文頭に来た回数と文中に来た回数をすべて数えました。結果は、教わる内容とかなり違いました。
文頭率の一覧(19語)
文頭に来た割合(=文頭率)の高い順に並べます。0%から79%まで、なだらかに散らばっています。
| 接続詞 | 文頭 | 文中 | 母数 |
|---|---|---|---|
| as soon as 〜するとすぐに | 79%(15回) | 21%(4回) | 19回 |
| once 〜したら | 75%(30回) | 25%(10回) | 40回 |
| as long as 〜する限り | 59%(16回) | 41%(11回) | 27回 |
| even if たとえ〜でも | 50%(14回) | 50%(14回) | 28回 |
| in case 〜の場合に備えて | 40%(4回) | 60%(6回) | 10回 |
| even though 〜けど | 38%(6回) | 62%(10回) | 16回 |
| whether AであれBであれ | 27%(4回) | 73%(11回) | 15回 |
| while 〜している間に | 26%(16回) | 74%(46回) | 62回 |
| after 〜の後で | 19%(8回) | 81%(35回) | 43回 |
| unless 〜しない限り | 17%(4回) | 83%(20回) | 24回 |
| if(条件)もし〜なら | 16%(146回) | 84%(782回) | 928回 |
| before 〜の前に | 15%(10回) | 85%(56回) | 66回 |
| as 〜するにつれて | 14%(6回) | 86%(38回) | 44回 |
| since(時間)〜以来 | 10%(5回) | 90%(43回) | 48回 |
| when 〜する時 | 5%(29回) | 95%(603回) | 632回 |
| cuz(because の短縮) | 4% | 96% | 551回 |
| since(理由)〜なので | 3%(1回) | 97%(28回) | 29回 |
| so that 〜するように | 0%(0回) | 100%(34回) | 34回 |
| though(節を導く用法) | 0回 | 3回 | 3回(全193回中。98%の190件は文末の副詞) |
| until 〜まで | 0%(0回) | 100%(56回) | 56回 |
※ because は表から外しています。実データの内訳は「結論 → because → 理由」が634回中621回(98%)ですが、この621回には「文をいったん切ってから Because で始める形」も含まれており、句読点での内訳が取れていないためです。because については後述します。
文頭に来やすいのは「枠を先に立てる」接続詞
上位に並んだ4語には、はっきりした共通点があります。条件や時の枠組みを先に置かないと、そのあとの話が成り立たないことです。
as long as は「〜しさえすれば大丈夫」と安心や許可を与える形が多く、条件を出さないうちに「大丈夫」とは言えません。even if は「たとえ〜でも」と相手の抵抗をあらかじめ潰してから助言する形。as soon as は手順やエピソードを話すときに順序を示します。
once(75%)はとくに極端です。when・if・before など多くの接続詞は文中が大半なのに、once だけ文頭が多数派で傾向が逆転します。文頭30件の内訳は手順・指示が12件(料理・厨房に集中)、仕組み・一般論が10件。「冷ましてから次へ」のように守らないと成立しない絶対条件なので、先頭に置いて強調しているわけです。after / when が順番や時点を表すのに対し、once には「その瞬間から切り替わる」ニュアンスがあります(元の意味が「1回」なので、その1回で物事が決まる)。
| Once you plate that salmon, I can start on the sauce. | サーモンを盛ったら、ソースに取りかかれる(厨房) |
| As long as we all move as one and nobody splits off, we'll be totally fine. | 全員が一緒に動いて誰もはぐれなければ、まったく問題ない(ゲーム) |
| Even if it feels a bit scary, even if you're not quite ready, just take the first step. | たとえ少し怖くても、まだ準備ができていなくても、とにかく最初の一歩を踏み出せ(対談) |
※ as long as には前半の as を省いた long as が文頭で2件ありました。一方、辞書やサイトが口語として紹介する so long as は実データで一度も使われていません(0回)。
文頭に来ない接続詞は、実際に存在する
逆に、76本のなかで一度も文頭に立たなかった語が3つありました。
これも意味で説明がつきます。
- until(56回すべて文中)← 「〜まで」は動作の終点。先に動作を言わないと終点を示せない
- so that(34回すべて文中)← 「〜するように」は目的。先に行為を言わないと何のための目的か分からない
- though(節を導く接続詞は3件で、うち文頭0件)← 193回のうち190件(98%)が文末に置く副詞「〜だけどね」。そもそも後ろに回る語
「文頭に使えない接続詞」はよく話題になりますが、使えないのではなく、意味の上で後ろにしか置けない——というのが実データの姿です。
「since は文頭が一般的」は書き言葉の話
参考書や解説記事では、「because は文頭に置きにくいが、since なら文頭が一般的」と説明されることがよくあります。ところが実データはそうなっていません。
| 理由の since | 29回のうち文頭は1回だけ(3%)。97%が文中 |
| because | 634回のうち、理由を先に置く教科書型(Because 〜, 主節)は1件だけ |
| 時間の since | 48回のうち文頭5回(10%)。理由より文頭率が高い |
つまり会話では、理由を表す接続詞はほぼ後ろに回ります。話しながら組み立てるときは、思ったこと(結論)を先に口に出して、あとから理由を足すからです。文頭のsinceが推奨されるのは、論文やビジネス文書のように「前提 → 結論」の順で書いたほうが読みやすい場面。参考書はそちらを教えています。どちらも正しく、場面が違うだけです。
さらに意外なのは、「〜以来」の時間の since のほうが文頭に立ちやすいこと。街頭インタビューで、相手の経歴の起点を先に置いてから質問する形に集中していました。詳しくは 文頭のsinceは「〜なので」 をどうぞ。
and・but・so を文頭に置くのはだめ?
ここまでは従属接続詞の話でした。and / but / so は等位接続詞で、「文頭に置くな」と言われる代表格です。ただし実会話での存在感は圧倒的でした。
and は76本中75本に出現し、出てこない動画は1本だけ。文頭に置いたときの働きは、語によって違いました。
「等位接続詞は2つの要素をつなぐ語なのだから、片方が前の文に切り離されている文頭の形はおかしい」——これが避けるべきとされる理屈です。ただし so については、文頭に出た時点で品詞が接続詞から副詞に変わるので、この理屈にはあたりません。いずれにせよ、避けるべきとされるのは論文やビジネス文書などフォーマルな書き言葉の場面だけです。
文頭に置いたときカンマは要る?
従属接続詞と等位接続詞で扱いが違います。
| 従属接続詞(if / when / since / as soon as など) | 節の終わりにカンマ。Since we're out of ammo, let's fall back. |
| 等位接続詞(and / but / so) | カンマなしが基本。So you keep coming back. |
| 切り出しの So,(さて/それでは) | カンマあり。一拍置く合図なので。So, here's my final question. |
語ごとの詳しい解説
この記事は一覧です。個別の語については、それぞれの記事で使い方と実例まで扱っています。
- and は文頭に置ける? ← 6,318回・接続詞で最多
- 文頭のsoの意味は? ← 「じゃあ/だから/さて」の3つ
- because は文頭で使える? ← 教科書型は634回中1件
- 文頭のsinceは「〜なので」 ← 理由の since は97%が文中
- while は文頭に置ける? ← 文頭26%
- though は文末に置ける? ← 98%が文末の副詞
- if が名詞節か副詞節かの見分け方 ← 名詞節の if は文頭に来られない