and は文頭に置ける?
「それで」と話をつなぐ使い方
and を文の頭に置くのは避けるべき、と聞いたことがある人は多いはず。ではネイティブは実際どう使っているのか。日常会話が多い7ジャンルの動画76本を分析したところ、and は6,318回。接続詞のなかで最も多く、76本中75本に出てきました。出てこない動画は1本だけです。
and は会話でいちばん多い接続詞
まず全体の位置づけから。接続詞を1語ずつ数えると、and が6,318回で突出しています。2位の but(1,820回)の3倍以上、because(634回)とは10倍近くの差がありました。
and は「何をつなぐか」で訳し方が変わります。実データで確認できたのは、次の3通りでした。
①語と語をつなぐ=「〜と」
いちばん基本の形です(語 + and + 語)。単語どうしを並べてつなぎます。この and は日本語の「〜と」にあたります。
| Maybe Spain and Portugal. | たぶんスペインとポルトガルかな(街頭) |
②節と節をつなぐ=「そして」
SV(主語+動詞)のあるまとまりどうしをつなぐ形です(節 + and + 節)。ここが日本語話者にとって見えにくいところで、日本語に訳すと「〜て」という形になり、接続詞として表に出ないことが多い。あえて接続詞として言うなら「そして」にあたります。
| I grew up in Canada and now I can't imagine living anywhere else. | カナダで育って、今はもう他の場所に住むなんて考えられない(街頭) |
日本語訳の「育って」の部分が and です。「そして今は〜」と訳してもいいのですが、自然な日本語にすると接続詞の姿が消えてしまいます。
③文頭に置く and =「それで」
そして本題の文頭です。前の文をいったん切ってから、次の文を And で始める形(And + 節)。この and は「それで」と、前の話を受けて次の話へつないでいく働きをします。
| And how long have you lived here? | それで、こっちに住んでどれくらいですか?(街頭) |
これは話し言葉に特有の形です。書き言葉なら文を切る場面でも、話しながらだと「それで〜」と話をつないでいくことが多くなります。
会話の and は弱く短くなる(機能語の弱形)
もうひとつ、聞き取りの話を。and は文法をつなぐ機能語なので、文の中ではアクセントが付かず、/ən/ ・ /n/ と弱く短くなります。会話でいちばん多く出てくる語なのに、はっきりした音では聞こえない——その理由がこれです。詳しくは 英語の弱形(弱化)とは? をどうぞ。
and と but・so の違い
会話でよく使われる等位の接続詞は、つなぎ方がそれぞれ違います。
- and(6,318回) ← 並べてつなぐ
- but(1,820回) ← 前の内容と逆のことをつなぐ
- so(1,222回) ← 前の話を受けて結果をつなぐ