文頭のsinceは「〜なので」
ただし理由のsinceは97%が文中
「since は文頭に置いて理由を表す」——参考書ではそう習います。では実際の会話ではどうなのか。日常会話が多い7ジャンルの動画76本から since 77回を数えて、意味と位置を全部数えました。結果は参考書の説明と、少し違いました。
文頭のsinceの意味=理由の「〜なので」
文頭に立つ since は、多くの場合理由です。ポイントは、相手もすでに知っている前提や、見ればわかる状況を軽く示すこと。理由そのものを強く主張するのではなく、そのあとに続く結論・提案が主役になります。
| Since we're out of ammo anyway, we might as well fall back. | どうせ弾切れなんだから、もう下がっていい(ゲーム) |
「弾切れ」は相手も見ればわかる状況です。それを since で軽く置いてから、「下がろう」という提案につないでいます。
ところが実会話では文頭は3%だった
ここからが本題です。since 77回のうち、理由の「〜だから」は29回(38%)。そのうち文頭に立ったのは1回だけで、残る28回(97%)は文中でした。
会話で圧倒的に多いのは、こちらの文中の形です。
| I'll set this up first, since this is the very first take. | 最初のテイクだから、先にこれを準備する(雑談) |
先に言いたいこと(結論)を言ってから、since で理由を後ろに足す。話しながら組み立てる会話では、この順番のほうが自然になります。
参考書が「文頭」で教えるのはなぜか
矛盾しているように見えますが、これは書き言葉と話し言葉の違いです。文頭のsinceはフォーマルな文章で好まれる形。論文やビジネス文書では「前提を先に置いて、結論へ導く」構成が読みやすいので、文頭のSince〜, が推奨されます。参考書や英作文の解説はそちらを教えているわけです。
一方、話し言葉は先に結論を言ってから理由を足すのが基本になります。so の記事でも書いたとおり、会話は「思ったことを先に出して、あとから説明を付ける」形で進むためです。文頭のsinceを覚えることは正しい。ただし「会話でもそれが普通」ではない——ここが実データでわかることです。
文頭に立った1件はどんな文だったか
唯一の1件を見ると、構造がよくわかります。起きたことを実況し、そのあとに Since を文頭に置いて理由を説明し、さらに結果へつないでいます。
| That sentry gun almost got me — I'd have been toast otherwise. Since my camera was locked onto it the whole time, the screen kept whipping around, and weirdly that's the thing that saved my life. | あのセントリーガンにやられかけた、そうじゃなきゃ終わってた。ずっとカメラがそれに固定されてたから、画面がぐるぐる振り回されて、変な話それが命拾いした理由だ(ゲーム) |
つまり、話全体で見ると「実況 → since → 結果」。前後に話がある以上、実質は文中と同じ構造です。純粋に何もないところから Since で切り出した例は、76本のなかにありませんでした。
文頭に多いのはむしろ「〜以来」の since
意外なのはこちらです。「時間の since は文頭に使えない」と書かれることがありますが、実データは逆でした。時間の since 48回のうち文頭は5回(10%)で、理由の3%より割合が高い。
しかも5件すべてが街頭インタビューで、用途が完全に揃っていました。相手の経歴・経験の起点を先に置いて、そこから質問を組み立てる形です。
| Since you moved to a new city, have you noticed anything surprising? | 新しい街に引っ越してから、何か驚いたことはありますか(街頭) |
だから文頭に Since を見たら、理由と決めつけないこと。うしろが時点・出来事なら「〜以来」、状況・根拠なら「〜なので」です。
since は文のどこに置く?(位置のまとめ)
77回の内訳を位置でまとめると、次のようになります。
| 時間「〜以来」 48回(62%) | 文中43回(90%)/文頭5回(10%) |
| 理由「〜なので」 29回(38%) | 文中28回(97%)/文頭1回(3%) |
| 文末の副詞「それ以来」 3回 | 文末に単独で置く |
※ 母数は動画76本・since 77回・27本に出現。and(6,318回)や so(1,222回)に比べると since 自体の出現数は多くないため、割合は目安として読んでください。それでも「文頭が通例」と言えるほど文頭が多くないことは、はっきり出ています。
文頭のsinceと because の違い
どちらも理由ですが、扱う情報が違います。
- since ← 相手もすでに知っている前提を軽く置く。主役はそのあとの結論
- because ← 相手が知らない理由をはっきり説明する。理由そのものが主役
位置の傾向も似ています。because は634回のうち621回(98%)が「結論 → because → 理由」の順で、理由を先に置く教科書型は1件だけでした。理由を表す接続詞は、会話では後ろに回る——since(97%が文中)と because に共通する性質です。詳しくは because は文頭で使える? をどうぞ。
時間か理由かの見分け方
since のうしろを見ます。「時点・出来事の始まり」なら時間(〜以来)、「状況・根拠」なら理由(〜なので)。時間の since は現在完了(have + 過去分詞)とセットになりやすいので、そこも手がかりになります。
| Since I was a teenager. | 十代の頃から(街頭) ← うしろが時点 |
| Feels like ages since I last loaded this thing up. | これを最後に起動して以来、ずいぶん経った気がする(ゲーム) ← うしろが出来事 |
文末の「since」=「それ以来」
since は接続詞のほか、文末に単独で置く副詞の使い方もあります。意味は「それ以来」。動画76本では3回登場しました。
| I haven't spoken to him since. | それきり彼とは話していない(街頭) |
| I've admired your work ever since. | それ以来ずっとあなたの作品を尊敬しています(対談) |